入院中・余命宣告のうちに「葬儀社を1社だけ」決めておく方法|事前相談で聞く質問リスト

親が入院中、余命を告げられたとき。葬儀社は完璧に比べなくても、1社だけ候補を決めておけば病院で慌てずにすみます。探し方、事前相談で聞く12の質問、営業や互助会の勧誘への注意点をまとめました。

公開 霊安室で決めない。編集部
目次
  1. なぜ「1社だけ」でいいのか
  2. 「縁起でもない」と感じるのは自然なこと
  3. 候補の探し方は4つ
  4. 事前相談で聞く質問リスト
  5. 事前相談のデメリットと注意点
  6. 決めたら、家族で共有する
準備は3つのステップ
  1. 011社を探す地元の葬儀社、自治体の制度、知人の紹介、資料請求のどれかで
  2. 02事前相談で聞く総額の目安と、プランに含まれないもの。見積書は書面で
  3. 03家族で共有する電話番号を全員のスマホに。病院で言う一言も

なぜ「1社だけ」でいいのか

いま日本では、亡くなる人のおよそ3人に2人が病院で最期を迎えます(厚生労働省、2025年)。病院で亡くなると、その日のうちにご遺体を運ぶ先を決める必要があります。このとき葬儀社の当てがないと、病院で紹介された業者にそのまま葬儀まで任せることになりがちです。

実際、多くの人が準備をしないまま、その日を迎えています。

  • 2026年の鎌倉新書の調査では、喪主などを務めた人の63.8%が事前の準備をしていませんでした。自分で葬儀社を決めた人の87.1%は、見積もりを1社しか取らなかったか、取っていません。
  • 2005年の公正取引委員会の調査でも、亡くなってから葬儀社を決めた人の95.6%が他社と比べていませんでした。

ここで言いたいのは「何社も比べなさい」ではありません。元気なうちに3社も4社も比べるのは、気持ちの面でも時間の面でも大変です。

大事なのは、病院で言える答えを1つ持っておくことです。候補が1社あれば、「搬送も葬儀も、決めているところに頼みます」と言えます。合わなければ、あとで変えることもできます。病院で何と言えばよいかは「病院で「葬儀社はお決まりですか?」と聞かれたら」にまとめています。

国民生活センターも2026年6月の注意喚起で、もしものときに慌てないよう、前もって情報を集め、葬儀社に事前相談しておくことを勧めています。

「縁起でもない」と感じるのは自然なこと

親が入院している、余命を告げられた。そんなときに葬儀社を調べるのは、親を見捨てるようで気が重いものです。そう感じるのは、親を大切に思っているからです。

ただ、事前に調べておくことは「あきらめる」ことではありません。その日に親のそばにいる時間を守るための準備です。病院で業者選びに追われると、お別れの時間がそのぶん削られてしまいます。

候補の探し方は4つ

どれか1つで候補が見つかれば十分です。

1. 地元の葬儀社に直接連絡する

自宅や実家の近くにある葬儀社です。ホームページで料金を出しているところも増えています。近所の評判を知っている親族がいれば、聞いてみるのも手です。

2. 自治体の制度を確認する(ある地域のみ)

「市民葬」「区民葬」などの名前で、自治体が葬儀社と協力して料金を決めている制度がある地域もあります。たとえば東京23区の区民葬儀では、祭壇・霊柩車・火葬・骨つぼのうち必要なものを選んで使えますが、それ以外の費用は別料金です。制度の有無や中身は自治体によって違い、見直されることもあるので、役所の窓口やホームページで確認してください。

3. 知人・親族の紹介

実際に葬儀を経験した人の話は参考になります。ただし、そのときの担当者や地域が違えば印象も変わります。紹介でも、見積もりは同じように確認しましょう。

4. 全国対応の定額制サービスや比較サイトに資料請求する

インターネットで料金プランを公開している全国対応のサービスや、地域の葬儀社を比べられるサイトがあります。家にいながら資料を取り寄せられるので、忙しい人や遠方に住んでいる人には使いやすい方法です。

事前相談で聞く質問リスト

候補が見つかったら、電話か対面で事前相談をします。無料のところがほとんどです。次の質問を、メモを取りながら聞いてみてください。

  1. 総額の目安:家族だけ10人程度、通夜なしの一日葬なら、全部でいくらくらいか
  2. プランに含まれないもの:追加でかかりやすい費用は何か
  3. 安置施設と安置料:自宅以外に安置できる場所はあるか。1日いくらか、面会はできるか
  4. ドライアイス:何日分がプランに入っているか。延びたら1日いくらか
  5. 搬送料:病院から安置場所まで、何kmまで料金に含まれるか。深夜の割増はあるか
  6. 24時間対応か:夜中や早朝に亡くなっても電話がつながるか
  7. 病院への迎え:入院先の病院まで来てもらえるか。到着までどれくらいかかるか
  8. 見積書:見積書を書面(またはメール)でもらえるか。明細は項目ごとに書いてあるか
  9. キャンセル規定:搬送だけ頼んで葬儀を別の会社にした場合、何が請求されるか
  10. 会員制度:入会しないと使えない料金か。入会金・年会費、解約の条件はどうなっているか
  11. 宗教者の手配:お寺の紹介はできるか。お布施は見積もりに入るのか、別に払うのか
  12. 火葬場と式場:近くの火葬場はどこか。火葬料は見積もりに含まれているか

聞いた内容は、日付と担当者の名前と一緒に残しておきます。見積書の見方は「葬儀の見積書の読み方」で、追加料金が出やすい項目を詳しく説明しています。

地元の葬儀社のほかに、全国対応の定額制サービスや比較サイトでも、無料で資料を取り寄せられます。料金表を手元に置いておくだけでも、地元の葬儀社の見積もりと比べる物差しになります。

事前相談のデメリットと注意点

事前相談は便利ですが、よいことばかりではありません。気をつけたい点も正直に書いておきます。

営業の電話や郵便が続くことがある

資料請求や相談のあと、電話や案内が届くことがあります。連絡がほしくない場合は、最初に「こちらから連絡するまで、電話は控えてください」と伝えておきましょう。連絡先は、家族のうち1人の番号にまとめておくと負担が減ります。

会員・積立の勧誘

「会員になると割引になります」と勧められることがあります。会員制度そのものが悪いわけではありませんが、その場で入会を決める必要はありません。入会金、年会費、退会のときにお金が戻るかを確認してから考えてください。

互助会の解約手数料

月々お金を積み立てる「冠婚葬祭互助会」は、使わずに解約すると、原則として約款に基づく解約手数料が差し引かれます。積み立てたお金に利息はつきません。埼玉県の消費生活支援センターには、次のような相談が寄せられています。

  • 使わずに解約したら、高額な手数料を差し引かれた
  • 積み立てた範囲で葬儀ができると思っていたが、オプションが加わり、葬儀後に百万円以上を請求された
  • 葬儀の打ち合わせ中に勧誘されて加入し、あとで解約したくなった

事前相談をしても、契約したことにはならない

事前相談は、あくまで情報を集める場です。相談したからといって、その会社に頼む義務はありません。逆に言えば、相談の内容は口約束です。料金は書面でもらい、見積もりの日付を確認しておきましょう。

決めたら、家族で共有する

候補が決まったら、それで終わりではありません。その日に電話をかけるのは、自分とは限らないからです。

病院で葬儀社を聞かれたときは、こう言えば大丈夫です。

そのあとで、登録しておいた葬儀社に電話し、「〇〇病院で家族が亡くなりました。迎えに来ていただけますか」と伝えます。亡くなった直後の流れは「病院で家族が亡くなったら:最初の数時間の手順」にまとめています。

参考資料・出典

  1. 国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」報告書本文(2026年6月3日)
  2. 鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査(2026年)」
  3. 公正取引委員会「平成17年度年次報告」葬儀サービスの取引実態に関する調査
  4. 厚生労働省 人口動態統計(2025年確定数)死亡の場所別
  5. 埼玉県消費生活支援センター 冠婚葬祭互助会に関する相談事例(2026年2月25日掲載)
  6. 中央区「区民葬儀券の発行」(23区の区民葬儀の例)