搬送してもらった後でも、葬儀社は変えられる|断り方の例文と、支払う費用
病院から搬送してもらった葬儀社でも、葬儀の契約前なら別の葬儀社に変えられます。支払う費用の考え方、電話・対面で使える断り方の例文、すでに契約書にサインしてしまった場合の考え方をまとめました。
搬送と葬儀は、別の契約
病院で紹介された葬儀社に搬送を頼んだら、もうその葬儀社で葬儀をするしかない。そう思い込んでしまう人は少なくありません。
けれど、搬送を頼むことと、葬儀を頼むことは別です。搬送してもらったのは、あくまで「ご遺体を運んでもらう」というお願いです。葬儀の内容や金額に合意して契約するまでは、ほかの葬儀社を選ぶことができます。
1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏も、2026年9月のマネーポストWEBの記事で、搬送が終わっていても葬儀社は替えられると書いています。見積もりに納得できなければ、搬送代とドライアイス代を払って、いったん取引を終えればよいという考え方です。
変えたときに支払う費用
葬儀社を変えるときに払うのは、それまでに実際にしてもらったことの費用が中心です。
払う費用(してもらったこと)
- 搬送料
- ドライアイス代
- 安置料(日数分)
- 説明を受けて頼んだもの(棺・着替えなど)
まだ発生していない費用(葬儀そのもの)
- 祭壇・式場
- 飲食・返礼品
- 葬儀のプラン料金
何にいくらかかるかは業者の条件によって違うので、断る前に書面で確認します。
- 搬送料:病院から安置先まで運んでもらった費用
- ドライアイス代:ご遺体の保冷のための処置
- 安置料:葬儀社の安置室に預けていた場合の日数分
- そのほか、事前に説明を受けて頼んだもの(棺や着替えなど)があればその分
ただし、何にいくらかかるかは業者の条件によって違います。だからこそ、搬送を頼む前か、遅くとも断る前に「葬儀を頼まなかった場合の費用」を聞いておくことが大切です。聞き方は「病院紹介の葬儀社に『搬送だけ』頼む方法」にまとめています。
「キャンセルなら搬送費20万円」と言われた例
国民生活センターが2026年6月に公表した相談事例に、次のようなケースがあります。
- 母親が入居先の施設で亡くなり、ネット広告で見つけた葬儀社に50万円のプランで申し込みたいと連絡し、葬儀場まで搬送してもらった
- 翌日の打ち合わせで120万円のプランを提案され、見直しやキャンセルを申し出ると、葬儀をしないなら搬送費用として20万円を請求すると言われた
- 担当者にせかされ、オプションを外して約120万円の契約書に署名した
- あとで広告を見直すと、打ち合わせのうえ依頼しなかった場合は搬送費用を受け取らない、という趣旨が書かれていた
同じ報告には、病院からご遺体の引き取りをせかされて葬儀社に頼み、翌日に80万円以上の見積もりを出され、「もう引き取ってもらったからどうしようもない」と思い直して契約した事例もあります。
どちらも、搬送のあとで「もう変えられない」と感じてしまったことが、契約につながっています。断ったときに何をいくら払うのかが、書面で先にわかっていれば、落ち着いて判断しやすくなります。
断り方の例文
断るときに、理由をくわしく説明する必要はありません。別の葬儀社に頼むことと、ここまでの費用を精算したいことを、はっきり伝えれば十分です。
電話で伝える場合
対面で伝える場合
打ち合わせの席で見積もりを出されて、その場で断りたいときの例です。
ポイントは次の3つです。
- 契約しないことを最初に言う:迷っている様子を見せると、説得が続きやすくなります。
- 費用は明細でもらう:口頭の金額だけで払わないようにします。
- 書類にサインしない:「確認のためのサインです」と言われても、何の書類かを確かめます。
変更先の葬儀社が引き取りに来る流れ
葬儀社を変えるとき、ご遺体を自分で動かす必要はありません。新しい葬儀社が、いまの安置先まで迎えに来てくれます。
- 新しい葬儀社に連絡する:いまの安置先(葬儀社の安置室か自宅か)と、そこを管理している葬儀社の名前を伝えます。料金も先に確認します。
- 前の葬儀社に断りの連絡を入れる:上の例文のとおり、別の葬儀社に頼むことと、引き取りの予定時刻を伝えます。
- 費用を精算する:明細を受け取り、内容を確認してから支払います。
- 新しい葬儀社が引き取りに行く:安置室から新しい安置先へ運びます。
新しい葬儀社の見積もりを比べるときは、「葬儀の見積書の読み方」も参考にしてください。広告の「○万円〜」と実際の総額の違いについては「『家族葬○万円〜』の広告と、実際の請求額はなぜ違う?」で解説しています。
すでに葬儀の契約書にサインしてしまったら
慌ててサインしてしまった場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。まず次の順で確認します。
- 契約書と約款を読み直す:解約できる時期、解約料の決まり、何が含まれているか
- 解約料の根拠を聞く:消費者契約法では、解約に伴う違約金などのうち、事業者に通常生じる平均的な損害を超える部分は無効とされています(第9条)。また事業者は、消費者から求められたら、その算定の根拠の概要を説明するよう努めることになっています。
- 188に相談する:自分だけで判断せず、消費生活センターに契約書を見てもらいましょう。
いちばんの備えは、断ったときの費用を先に聞くこと
葬儀社を変えるかどうかで悩む場面の多くは、搬送を頼む時点で、葬儀を頼まなかった場合の費用を聞いていないことから始まります。
- 搬送を頼む前に「葬儀を頼まなかった場合、何をいくら払いますか」と聞く
- 答えは書面かメモで残してもらう
- 安置が済んだら、ほかの葬儀社にも料金を聞いてみる
この3つだけで、「もう変えられない」と感じる場面はぐっと減ります。
参考資料・出典